カテゴリ：印刷作品アーカイブ

藤原敦写真集『蟬丸』

2017.8.21　印刷作品アーカイブ, 展覧会・イベント情報　

写真家の藤原敦さんの写真集、『蟬丸』が蒼穹舎様から刊行されました。

タイトルの『蟬丸』とは能の演目の一つで、
盲目ゆえに捨てられた延喜帝の皇子蟬丸が、
同じように生れつきの障害によって狂女となった姉の逆髪と
逢坂山（現滋賀県大津市）にて出会い、お互いの境遇を語り、
涙ながらにまた別れるというストーリーです。

本写真集で藤原さんは、故郷というものを懐かしくも厄介で
時に『抜き差しならない』響きを持つものと捉えられています。

藤原さんにとってのそうした故郷という存在が、
宮中から追い出されてもなお故郷への思いを捨てきれない
蟬丸の人生と重ねて描写されています。

刀を抜くことも収めることもできないような、
どうにもならない状態を表す『抜き差しならない』という言葉が
本書での重要なキーワードとして捉えられています。

写真集の最後のページには『刀』の写真が添えられており、
藤原さんの故郷への思いが詰まった一冊となっております。

展覧会も9月に開催予定ですので、機会のある方は是非ご覧ください！

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藤原敦写真集『蟬丸』

著者：藤原敦
発行：蒼穹舎
装幀：原耕一
仕様：25.4 × 22 cm
ハードカバー・112頁
定価：4,000円（税別）
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藤原敦写真展『蟬丸』

会場：ギャラリー７２２（岡山県岡山市）
会期：2017年9月1日（金）～ 9月30日（土）
展覧会情報：http://www.sokyusha.com/gallery/20170626_fujiwara.html
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宮崎ツヨシ写真集『ライ麦畑で猫をつかまえて』

2017.7.30　印刷作品アーカイブ　

宮崎ツヨシさんの写真集
『ライ麦畑で猫をつかまえて』が
蒼穹舎様より刊行されました。

「捨て猫ノラ猫にはろくでもない最期が
待っている。どんなに素晴らしい光があっても、
彼らを見れば、そんなことばかり考えてしまう。」（あとがきより）

色調が抑えられた写真の猫たちは
皆、愛らしくもどことなく哀愁が
漂います。宮崎さんは猫と光の対比を
ポイントに撮影されているため、写真の多くが
暗いトーンで、印刷時には仕上がりが
暗くなりすぎるのではないかという懸念もありました。
しかし、「印刷で表現できるギリギリの暗さを」という宮崎さんの
こだわりを可能な限り実現することで、
ただ可愛らしいだけではない、捨て猫や野良猫たちが送る
生活に対する宮崎さんの想いがにじむ作品に仕上がりました。

猫好きの方もそうでない方も、是非本書を手に取り、
家の周りにいる猫たちに想いを馳せてみてください。

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『ライ麦畑で猫をつかまえて』

著者：宮崎剛
発行：蒼穹舎
装丁：塚本明彦、赤川延美（タイプセッティング）
仕様：22.5×24.5 cm・ハードカバー・112頁
定価：4,000円（税別）

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『布川愛子作品集 Humming』

2017.7.25　印刷作品アーカイブ　

イラストレーターの布川愛子さんの作品集『Humming』が
表現社様の社内ブランドcozyca productsより刊行されました。

布川さんの繊細なタッチで描かれる、カラフルで見ているだけで
楽しい気持ちになれるようなイラストがつまったとても素敵な一冊となっています。

印刷時には、表現社企画室からアートディレクター高倉英俊さんと小田村沙枝さんに
立会いにお越しいただきました。

表現社様は、人の思いやこころを伝えることをテーマとした
和雑貨や紙物雑貨の企画販売をされており、その中でもcozyca productsは
クリエイターとのコラボレーション商品を多く制作されているブランドで、
これまでにも布川さんの商品を数多く生み出してこられました。

今年で五周年を迎えられることから、それを記念して、
新進気鋭の若手作家である布川さんの作品集を企画されました。
今回のようなコラボレーション企画を通してこれからも若手作家の活動を
応援していきたいとのことです。

表紙には布川さんのイラストが箔押しされており、
トレーシングペーパーのカバー越しに透けて見える箔がとてもおしゃれな装丁です。

布川さんの描かれる動物たちは、まるで人間のように洋服を着ておしゃれをし、
今回の作品集にもそのような動物たちやかわいらしい草花がたくさん登場します。

これまでの布川さんの文具と並んで、雑貨店や雑貨を取り揃えている
書店の雑貨コーナーで販売される予定ですので
機会のある方は是非お手にとってご覧ください！

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『布川愛子作品集 Humming』

著者：布川愛子

発行：cozyca products

デザイン：平下薫

仕様：A5判・ハードカバー・80頁

定価：2,500円（税別）
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作宮杏奈作品集『この星にうまれて』

2017.7.4　印刷作品アーカイブ　

彫り絵と呼ばれる独特の技法で制作をされている
作宮杏奈さんの作品集『この星にうまれて』をご紹介します！

木版画は小学校の授業などで触れる機会も多く
馴染み深い技法ですが、作宮さんの作品は、
紙ではなく彫られた板の方が主役になっています。

当初は木版画の作家として活動をされていた作宮さんは、
ある時、木版に残った彫刻刀の跡がきれいだと思い、
版画にせずに板をそのまま作品として展示したことをきっかけに、
彫り絵というスタイルにたどりつきました。

繊細な線と鮮やかな色彩に加えて、
作品全体に残された丁寧な彫り跡が、
木版画とはまたひと味違う温かみを作り出しています。

作品集は絵本形式となっており、作宮さんの作品の
もうひとつの特徴である、人と自然が一体となって作る
平和な世界が文章とともに綴られています。

巻末には興味深い制作過程や作宮さんによる文章が掲載されています。
「毎回きれいな線が描けることが大切なのではなく、
毎回新しい線が生まれることが、私にとっては大切です」
という言葉からは、他にない技法で作品を生み出す
アーティストとしての姿勢が伝わりとても印象的です。

是非お手に取り、彫り絵の世界を堪能してみてください！

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『この星にうまれて』

著者：作宮杏奈
発行：株式会社瀬戸内人
デザイン：中山正成（株式会社エイプリルフール）
仕様：A4横・ハードカバー・40頁
定価：3,500円（税別）

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地中美術館図録『Chichu Art Museum』

2017.6.22　印刷作品アーカイブ　

前回の記事でもご紹介した豊島の西側に位置する同じく瀬戸内海の島々の一つ、直島。

そこに建つ地中美術館（香川郡直島町）は、ベネッセホールディングス最高顧問福武總一郎氏の
働きかけにより、日本を代表する世界的建築家安藤忠男氏が設計を手がけ、
世界的アーティストウォルター・デ・マリア、ジェームズ・タレル、モネの作品が展示された空間です。

1987年に当時の福武書店（現ベネッセホールディングス）が
モネの『睡蓮ー柳の反映』を購入したことをきっかけに、
1995年ジェームズ・タレルが直島を訪れ作品制作の構想を思案し、
さらに1998年デ・マリアと安藤忠男氏に声がかかったことにより
このプロジェクト全体の構想が完成しました。

幾何学的なインスタレーションで構成された部屋に
1体の黒い巨大な花崗岩の球体が輝く
デ・マリアの作品『タイム/タイムレス/ノー・タイム』は、
差し込む外光によって様々に表情を変え、
重力の存在感や時空を超えた感覚を喚起させます。

また、金沢21世紀美術館でも常設となっているタレルの「スカイスペース」シリーズと
同じシリーズとして展示されている「オープン・スカイ」は、30分以上かけて変化していく
室内のライティングにより、「空」という存在を、まるで一枚の絵画のように物質的な存在へと
魅せる巧みな仕掛けそのものが作品として現れます。