アーティストの内藤礼氏と建築家の西沢立衛氏による融合空間、
豊島美術館(香川県小豆郡)。
昨年5月に同館の写真集も当社で印刷し、
グラフィックデザイナーの祖父江慎さんが
立ち会いに来られたのも記憶に新しいところですが、
今回は公式ハンドブックの印刷も手がけさせていただきました。
棚田と自然が混ざり合う美しき瀬戸内の
風景に溶け込むように佇む、 有機的な白い建造物。
コンクリートのシェル構造で巧みに作られた空間には2つの開口部があり、
空には偶然そこにあるかのような一筋のリボンがゆらめいています。
この空間全体が内藤礼氏の「母型」という作品になっており、
作品と建築が見事に融合し、またさらにその建築自体も
瀬戸内の自然の景観に溶け込んだ一つのランドスケープとなっています。
気候により入り込む雨水や風、湧き出る地下水も
作品の一部として日々違った表情を見せる空間は、
訪れた人の内面を解き放ち、 瞬間瞬間、
自然と共に生まれ変わる生命の循環の営みへと誘います。
また、豊島美術館内にはカフェスペースもあり、
開口部から差し込む自然光の中で喫茶を楽しむことが出来るのも、
この美術館ならではの体験です。
瀬戸内の自然をなお一層近くに感じさせてくれる唯一無為のこの美術館で、
「地上に存在していることは、それ自体、祝福であるのか」
という内藤氏の作品の世界観を身体全体で感じることが出来るでしょう。
ポケットサイズのハンドブックを手に、是非瀬戸内の島へ足をお運びください!
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『豊島美術館ハンドブック』
発行:公益財団法人 福武財団
デザイン:祖父江慎(コズフィッシュ)
装幀:永井一史、橋本明花、天畠カルナ(HAKUHODO DESIGN)
仕様:A5変型判・ソフトカバー・63頁
定価:952円(税別)
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