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カテゴリ:連載・コラム

一冊の写真集が完成するまで part2 ③

2018.10.30  お知らせ, 1冊の写真集が完成するまで 

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サンエムカラーは、これまでに様々な方々の
作品集・写真集の印刷を手がけてまいりました。
初めて作品集を作られる方にも、経験豊かな担当者が
しっかりとお話を伺い、充実した作品集が完成するまでを
徹底的にサポートさせていただいております。

しかし、この記事を読まれている方の中には、
「写真集を作りたい!でもハッキリしたイメージが持てていないのに相談しても大丈夫なのか」
「お金がどれくらいかかるのか全く分からない…」
など、不安に思われている方も多いのではないでしょうか。

そこで、当ブログでは数回に渡り、実際にサンエムカラーが
作家の方と共に1冊の作品集を作り上げるまでの様子をお届けしたいと思います。

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今回、本を作らせていただくのは写真家の川内陽さんと
詩人の服部嗣雄さんです。
タイトルは『詩と写真、その可能性』。
二人のおりなす世界観からどんな新しいものが生まれるのか。

完成が楽しみですね!

第3回の今回は写真集の色校正の様子をお伝えしたいと思います。
(第2回目、DMの色校正の様子はこちらよりどうぞ。)

色校正についての説明も前回に書いているのでぜひ読んでみてください。

さて、写真集の校正も前回同様みていただきますが

写真集には特色がないため本機校正をした後、

その写真に対して細かく修正指示をしていただく形で進行します。

まず、川内さまが用意してくださった色見本。

これを元に色を寄せていきます。

印刷物はCMYKという色料でできています。
CMYKとはそれぞれ
C=シアン M=マゼンダ Y=イエロー K=ブラック(墨)
の4色を掛け合わせて作られており(減法混色)、
この4色で表現できない色を特色といいます。

前回のDMは特色として銀色を使っていました。

今回の写真集、特色は使っていませんが
サンエムカラーの得意分野でもある色調補正を

十分に発揮していこうと思います!

まずは念入りに修正指示を聞いていきます。

CMYKの説明もざっくりしましたが
「もう少しYプラス」、「Mマイナス」などの指示でも十分ですし
「もっとボリュームがほしい」
「遠近感を出したい」
などイメージを伝えていただければ専門のオペレーターが

調節をするので知識がない方でもご安心ください。

このように一つ一つ、写真集の出力と色見本を比べていきます。

修正指示は反映して次の印刷立ち会いで再度ご確認いただきます。

もうそろそろゴールが見えてきましたね.

 

さてさて、長々と語ってまいりましたがついに川内さんの写真展、

「KiBi …心のゆらぎ、きらめき…」が

本日より京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスクにて開催中です。

会場は平安神宮のそばで

観光しながらでも気軽に立ち寄れる素敵な会場です。

芸術の秋にぜひ川内陽さんの世界観を楽しんでみてはいかがでしょうか。

会場の様子はまた改めて紹介させていただきます。

お楽しみに。

—本の出版をお考えの方に。
簡単に制作過程をまとめたこちらもぜひ併せてご確認ください。

グッズの作成も承っております。

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川内陽 写真展
「KiBi …心のゆらぎ、きらめき…」
2018.10.30(tue) ~ 11.04(sun)
京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスク
詳細HP
https://kyoto-muse.jp/exhibition/exhibitionlist?exhibition_id=1455

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一冊の写真集が完成するまで part2 ②

2018.10.25  1冊の写真集が完成するまで 

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サンエムカラーは、これまでに様々な方々の
作品集・写真集の印刷を手がけてまいりました。
初めて作品集を作られる方にも、経験豊かな担当者が
しっかりとお話を伺い、充実した作品集が完成するまでを
徹底的にサポートさせていただいております。

しかし、この記事を読まれている方の中には、
「写真集を作りたい!でもハッキリしたイメージが持てていないのに相談しても大丈夫なのか」
「お金がどれくらいかかるのか全く分からない…」
など、不安に思われている方も多いのではないでしょうか。

そこで、当ブログでは数回に渡り、実際にサンエムカラーが
作家の方と共に1冊の作品集を作り上げるまでの様子をお届けしたいと思います。

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今回、本を作らせていただくのは写真家の川内陽さんと
詩人の服部嗣雄さんです。

第2回の今回は色校正の様子をお伝えしたいと思います。
(第1回目、レイアウト校正の様子はこちらよりどうぞ。)

まず色校正とは…
前回も少しお伝えしたように
印刷した際の色を見ていただくことをいいます。

たとえば印刷会社に作品を依頼した方は経験があると思いますが
「あれ…?思ってた色とちゃう…」
みたいなことないですか?
特にパソコンで作業をしているとくすんだ色に仕上がって
がっかりしちゃいますよね。
それを解消していく段階です。

色校正には大きく分けて
「簡易校正」と「本機校正」の2種類があります。

「簡易校正」とはオフセット印刷機を使用せず
主にインクジェットプリンタを使用して簡易的に出力をする方法です。
サンエムカラーでは高細密な再現性の高いインクジェットプリンタを使用します。

「本機校正」とはオフセット印刷機で実際に顔料油性を使用して印刷をする方法です。
原本を作成して大量に刷ることができる上、特色の使用も可能なので色の再現性が高いです。
これは印刷会社にしかありません。
ちなみに今は「試し刷り」の段階ですが
本刷りの場合も本機校正で使用したオフセット印刷を使います。

今回はその実際の印刷機を使う「本機校正」で
仕上がりの感じを見ていただきました。

これは展覧会のDMです。
実はこれもサンエムカラーで刷らせていただいています。

同じ画像がいっぱい?と思いきや
一つ一つ画像の色が違います!

写真家さんにとっては特に重要な段階ですので
オペレーターができる限りの色の提案をします。

ちなみに今見ていただいている校正、銀色(特色)の濃度を
気にされているようで…
銀の濃度が濃いものと薄いもの、
コントラストを上げたものと下げたものをご用意。
気に入ってもらえるでしょうか…

ああよかった!
気に入ってもらえるものがありました!

DMの色校正も無事に終了したところで
こちらはこれから本刷りに入ります。

次回は写真集の色校正の様子をお届けします。
画像が多いのでどのような感じで進行するのか
気になりますね!

今回紹介した色校正、
当ホームページでオプションを紹介しているので
詳しく知りたい方はご参照の上、お問い合わせください。
https://www.sunm.co.jp/skill/index.php

それでは次回もお楽しみに!

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川内陽 写真展
「KiBi …心のゆらぎ、きらめき…」
2018.10.30(tue) ~ 11.04(sun)
京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスク
詳細HP
https://kyoto-muse.jp/exhibition/exhibitionlist?exhibition_id=1455
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一冊の写真集が完成するまで part2 ①

2018.10.17  1冊の写真集が完成するまで 

サンエムカラーは、これまでに様々な方々の
作品集・写真集の印刷を手がけてまいりました。
初めて作品集を作られる方にも、経験豊かな担当者が
しっかりとお話を伺い、充実した作品集が完成するまでを
徹底的にサポートさせていただいております。

しかし、この記事を読まれている方の中には、
「写真集を作りたい!でもハッキリしたイメージが
持てていないのに相談しても大丈夫なのか」
「お金がどれくらいかかるのか全く分からない…」
など、不安に思われている方も多いのではないでしょうか。

そこで、当ブログでは数回に渡り、実際にサンエムカラーが
作家の方と共に1冊の作品集を作り上げるまでの様子をお届けしたいと思います。

 

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今回、本を作らせていただくのは写真家の川内陽さんと
詩人の服部嗣雄さんです。

この時点でお気付きの方もいると思うのですが
今回は写真集ではなく
写真と詩を融合させた
『詩写真集』を作るということで依頼を受けました!

今回の本は川内さんの個展「KiBi …心のゆらぎ、きらめき…」に併せて
作るということでそちらの展覧会も気になります!
下記に展覧会情報をまとめていますので、ぜひそちらもご確認ください。

それではお二人について簡単にご説明します。

写真家の川内陽さんは大学卒業後、
知人に勧められカメラを始めたそうです。
その後次々と賞を受賞。
今年は第43回 2018 JPS展 優秀賞、
第66回二科展 入選など
今後の活躍が楽しみな写真家さんです。

詩人の服部嗣雄さんは、今回の詩写真集を作る以前、
『智子の絵・嗣雄の詩』というタイトルで本を出しており、
それ以外にも画集の編集なども担当される多才な方です。

さっそく、そのお二人が作る詩写真集の打合せの様子をご紹介していきます。

ちなみに今回は3回目の打ち合わせで
・本のサイズ
・本の用紙(表紙と本文)
が決定し、いよいよ本のレイアウトにかかる段階です。

前回、川内さんが用意してくださった『台割表』をもとに
サンエムで作ったレイアウトを見ていただきました。

「この字をもっと大きく」「ここに写真を追加する」
この時に色々修正指示をもらい、お客さまのイメージに近づけていきます。

ところでご存知ない方もいると思うのですが
先ほど述べた『台割表』というのは一体何でしょう?

台割表というのは冊子構成がページ順に書かれた表のことで
何ページに何が入るかを明記します。
この詩写真集の場合だと、
・◯ページに目次、
・◯ページに◯番の写真、
・◯ページに◯番の詩、
など指示が書かれています。
本を作る時に台割表は必要不可欠。
これは手書きでも良いので、打ち合わせの際に持参すると良いでしょう。
書き方などはさまざまなので一度ネットで検索してみるのも良いかもしれませんね。

このあとはお客さまの修正指示のもと、何度も編集作業を重ねていきます。
レイアウトのOKが出たら実際の印刷機で試し刷りをし(本機校正といいます)、
仕上がりに近い状態でお客様にご確認いただきます。
次回はその打ち合わせ風景をお伝えしたいと思います。

お楽しみに!

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川内陽 写真展
「KiBi …心のゆらぎ、きらめき…」
2018.10.30(tue) ~ 11.04(sun)
京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスク
詳細HP
https://kyoto-muse.jp/exhibition/exhibitionlist?exhibition_id=1455
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グッズができるまで③

2018.2.22  グッズができるまで 

サンエムカラーが印刷を駆使して作る
展覧会グッズをご紹介する連載「グッズができるまで」。

①・②ではグッズの制作過程をご紹介していましたが、
実はグッズの完成を記事にまとめる間も無く、すでに展覧会が開催中です!

なので、今回は展覧会のPRも兼ねて、完成したグッズの
ご紹介を一挙にしたいと思います。

 

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現在、東京・千代田区のkanzan galleryで開催中の
ヨシダナギさんの個展『Tribe Walk』。

民族写真家としては言うまでもなく、テレビ「クレイジージャーニー」への出演、弊社で
印刷を担当いたしました作品集『SURI COLLECTION』など、
幅広い活動を展開されるヨシダさん。
昨年開かれた写真展『HEROS』が記憶に新しい方も
いらっしゃるかもしれません。

会期も半ばをかなり過ぎていますが…ギャラリーの様子をご紹介いたします。

       

今回の展示の目玉となるのは、ギャラリー内に設置されたスクリーン。
展覧会と同じ「Tribe Walk」と題されたこの作品は、
ヨシダさんが旅の中で体験した、少数民族との交流、その空気を
追体験できるデジタルインスタレーションです。

見て感じて楽しむだけでなく、写真撮影が可能なので、
作品から様々な民族が自慢のおしゃれをして画面に登場する瞬間は
彼らとツーショットを撮るチャンスです!カメラをお忘れなく。

 


▲会期中にヨシダさんがいらっしゃった時の写真です。

ヨシダさんの在廊中にグッズを買われた方には、ヨシダさんのサインが!

ここで、どんなグッズが出来上がったのか、ご紹介していきます。

上の写真でサインをされているのが、ヨシダさんの名言つき
日めくりカレンダーです。「グッズができるまで②」で印刷していたものです。

  

 


▲壁掛けにもなります。

 

 

続いて、「グッズができるまで①」で校正をしていたブロックメモです。

 

右から、「スリ族」と「エナウェナウェ族」の2種類。

  

表紙カバーの白インキはこんな感じで仕上がりました。
模様は、表紙に使っている民族のボディペイントを
それぞれモチーフにしています。

 

制作工程をブログでお伝えしていないグッズもいくつかご紹介します。
A5ポケットクリアファイルは、ブロックメモと同じ
民族の違うショットを使って仕上げました。

衣装の色合いからイメージカラーをそれぞれオレンジと水色に設定してデザインをしました。
A5サイズと小ぶりながら、存在感のある仕上がりなので、ぜひ実物をご覧いただきたいと思います。

 

       
▲中のポケット部分にもおしゃれをした民族が立っています。

 

今回のグッズラインナップの中でも異色を放つのが、
スリ族フェイスパック『Suri Pack』です。

  

スリ族の特別なお化粧をモチーフにした、デザインフェイスパック。
これであなたもスリ族になれる?かも。

フェイスパックも、化粧水に浸す前は紙なので、柄がついたものは
「印刷物」ということになります。少し意外に感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

肌につけるものという性質上、特殊なインキが必要なため
この商品は弊社印刷のものではないのですが、企画・デザインはサンエムカラーで
担当いたしました。

 

kanzan galleryでの展示は今月25日で終わってしまうのですが、今年は他にも
ナギさんの展覧会がいっぱいです。こちらでも詳細をお伝えしてまいりますので、
チェックをお願いいたします!

 

 

1冊の写真集が完成するまで 番外編 No.2

2018.2.15  1冊の写真集が完成するまで 

サンエムカラーが、作家の方と協力して
新しい写真集を作り上げるまでの様子をリアルタイムで
お届けするシリーズ「1冊の写真集が完成するまで」。
(過去の記事はコチラからお読みいただけます。)

実は、1月5日に「Wakayama Days」さんと
美術館ブックカフェ「BRING BOOK STORE」さんの共催にて
「狼煙の輪郭(のろしのりんかく)
〜写真家・照井壮平が25年追ってきた “熊野・高野” と書籍デザイン〜」
として、トークイベントが行われました。
その場に、光栄ながら弊社の担当前川も登壇させていただきましたので
遅ればせながら、レポさせていただきます!

場所は、和歌山県立近代美術館内の「BRING BOOK STORE」です。
黒川紀章氏設計の和歌山城を望むかっこいい建物の中にありました。

なんとエントランスに、狼煙が上がっていました!
書籍名にあわせた素敵な演出で、イベントにも期待が高まります。

和歌山カルチャーがぎゅっと詰まった素敵な書店、
BRING BOOK STORE」には、
ありがたいことにサンエムカラー印刷の書籍も。

70名もの方にお集まりいただいたそうですが、
贅沢なことに本物の紙焼きを触らせていただけるという
大盤振る舞いでした!写真家の照井さんに感謝。
印刷物と紙焼きを見比べることのできる貴重な機会です。

なんと「狼煙料理」付きのイベントでした。
「狼煙料理」とは出陣前のお食事をイメージされたとのこと。
アイデアいっぱいのイベント、さすがです。
(おいしかったです、ご馳走様でした!)

1部では写真家の照井さんのトークです。
照井さんの25年に渡る撮影の日々や
写真集ができるまでのストーリーを知ることができました。
小さい頃からの興味深いお話もしていただいて、
みなさん集中して聴いておられました。
(詳しくは、道音舎さんのFBをご覧ください)

2部は、クロストークです。
BRING BOOK STORE」主催の源じろうさんと。
和歌山のカルチャーを牽引しておられる源じろうさんと
和歌山を撮り続けておられる照井さんのお話で、
和歌山の祭りに行ってみたい!という気持ちになりました。

デザイナーの硲さんからは、
本ができるまでの構想段階からの話をみっちりと。
イメージから形にするまでの長い道のりのお話、
本当に興味深かったです。
ご自身が主催される出版社だからこそ、
ここまでこだわりの写真集ができたということや
お三方の情熱がものすごく入っていることがよくわかりました。

いよいよ前川の登壇のターンです。
柱の陰から見ながらドキドキしてしまいました。。。
面付けした状態の印刷物など資料を元にご説明させていただき、
かなりマニアックな内容でしたが、
興味を持って下さった方もおられたようで一安心。

次のターンでは、4名のクロストークや質疑応答でした。

夜も更け、狼煙も上がりきったところでトーク終了。
終了後に、参加者の方からサンエムカラーのブログを読んで
来てみましたと言って下さる来場者の方もおられて、
前川共々感激してしまいました。

アートブックシーンをもっと広げていきたい想いや
印刷物の深い世界をお話する機会をいただき、
照井さん、道音舎の北浦さん、硲さん本当にありがとうございました。
道音舎さんの次回作も、楽しみにしております!