鈴木敦子写真集「Imitation Bijou」が完成しました。
表紙のサイズが縦15.5cm、横11.6cmと小さめなこの作品。
表紙を開くとさらに一回り小さい本文が現れます。
表紙はさらに開き、飯沢耕太郎氏による鈴木敦子さんの写真の評論が書かれています。
本文には淡々と鈴木さんの写真が掲載されています。
今回、鈴木さんとデザイナーの相島さんとの初打合せでどのような写真集を作りたいのか、お話を伺ったところ、製本が今よりも複雑なものでした。
アートブックの製本では前例がない仕様を作家やデザイナーから提示されることは珍しいことではありません。しかし、物理的なことやコストの関係など必ずしも最初に提示された仕様通りの本ができるとは限りません。
そのことをお二人に伝え、何度か製本会社と試行錯誤し今回の製本になりました。
本文の印刷にかんしては、テスト校正、初校はFMスクリーンで進行していました。
AMスクリーンよりも色域が広く鈴木さんの作品の中にある印象的な色を再現したかったからです。
しかし、最終的にAMスクリーンで本刷りを行いました。これは鈴木さんの作品の変化のあるグラデーションがFMスクリーンでは色転びしてしまい、うまく印刷できなかったからです。
AMスクリーンで印刷した結果、オリジナルプリントに近い印刷に仕上がりアートブックとしての完成度が高まったと思います。
冒頭にある飯沢氏の評論に「いい匂いのする小箱」というとても印象的なフレーズが書かれています。
この小さなサイズだからこそ鈴木さんの思いが最大限に伝わるのかもしれません。
今回、通常版の他にSpecial Editionとして限定30部でアクリルケースにオリジナルプリントと本をセットした仕様も作成。
オリジナルプリントは3種類あり、各10部限定になっています。プリントの裏には鈴木さんのサインも入っています。
くわしくは版元のDOOKSページをご覧ください。
また、7月12日(金)から東京都現代美術館で開催されるTOKYO ART BOOK FAIR 2019にて初お披露目とのことなので実物を見てみたい方は是非、会場へ足を運んでください。
Art Book Director 前川