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サンエムカラーの次世代複製画について

2019.7.18  印刷職人、仕事中!, 文化財 

一昨年作成した石山寺蔵「紫式部聖像」の複製画制作を皮切りに、泉屋博古館蔵「二条城行幸図」など、
サンエムカラーでは質感や光沢までも再現した次世代の複製画制作に取り組んでまいりました。

 

それは、平面なジークレーやただ凹凸のついた複製ではなく、画材や用紙の質感を再現したものです。

例えば日本画であれば、胡粉の盛り上がりや剥がれ、岩絵の具の粒状を感じる質感、
漉いた和紙の繊維感や打紙による平滑さ、金箔や金泥などを
長きにわたって複製画や美術書・写真集を手がけた技術によって再現しています。

この技法は、西洋画から現代アートでも応用が効き、最近では写真家横山隆平さまの作品を
銀の光沢とコールタールのような黒の質感を持った、グラフィティをテーマにした写真作品を制作いたしました。

これまで多くの複製画を手がけて来たサンエムカラーでは、
この質感まで再現した複製画を「KASANE GRAFICA」と名付け、多くの作家様の新たな表現方法として、
また存在感を持つ複製画を求める方にご利用頂けるよう準備を進めております。

あらゆる美術作品・文化財は、平面に見えて絵具やキャンバスなど素材の立体感が潜んでいます。
その質感は本物である存在感や空気感をまとう重要な要素と考えております。
これまで色や形を平面に表現する印刷に、質感を加える事で複製画の新たな領域に踏み込んで行きたい、
また、無限の表現力を持つこの技法を現代の作家に利用してもらいたいと考えております。

今回は予告告知ですが、この「KASANE GRAFICA」の表現力や事例について追ってご紹介できればと思います。