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三好和義 「いつか、楽園へ」

2011.6.20  印刷作品アーカイブ 

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三好和義 「いつか、楽園へ」
発行元:パイ インターナショナル
2011年5月発行|制作協力:PIE BOOKS
装丁・本文デザイン:松村大輔
FMスクリーン+高輝度インキ
2400円+税
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いつもお世話になっている三好和義氏撮影、
PIE BOOKS制作協力の新作「いつか、楽園へ」の印刷を
サンエムカラーが担当させて頂きました。

印刷職人のしごとば

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本作品は、いつか本当の楽園に住み着いてのんびりと暮らす、というのが夢という
三好氏がモルディブ、沖縄、ハワイの各地を訪れ、撮影された作品集です。
青い空とクリアブルーの海を再現するために、
印刷方法としてはFMスクリーンと高輝度インキを使用しています。

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FMスクリーンとは、サンエムカラーが得意とする
微小なドットを濃度によってランダムに配置ことにより
絵柄の濃淡を表現する、高い再現度をもつ印刷方法です。
通常のAMスクリーンより網点も細かくなるということは、
網点ひとつひとつがくっつかないようにする必要があり、
(くっつくと色がつぶれます)
そのためにインキの固さやブランケットの固さを調整しています。
網点をどれだけ高くつぶさずに「盛る」ことができるかというのも
サンエムカラーが創業時からこだわってきた高い色再現を追求した、
いわば創業者松井の「松井スペシャル」というべき技。

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また「高輝度インキ」とは、本作品の様な濁りの無い色を
再現するときに用いられます。
RGBで撮影されたものをCMYKに変換する際に発生する「濁り」
をできるだけなくすように作られた物ですが、
インク自体に透明感があるものなので一般的な刷り方であると
色が浅くなってしまいます。
そこで、サンエムカラーのFMスクリーンを使用、
またインクの網点をつぶさずに「盛る」技術が発揮され、
透明感のある高輝度インキであっても浅い色ではない、
究極の「海の色」を再現することができました。

現在の印刷技術では、
CMYK+RGB三版というように自動的に色分版を行う技術も開発されていますが、
やはりそこは機械が自動的にする作業になるため、
調整されたRGBの部分に違和感が出てしまいます。
現段階では、人の知恵・感覚・技術での調整が一番の再現性を持っています。
ぜひ、「いつか、楽園へ」を手に取って頂き、
楽園のクリアな「青」を見て頂きたいと思います。
本当に世界は美しいんだなあ、と旅心くすぐられる一冊です。

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