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「透明人間 再出発 谷郁雄」(詩)青山裕企(写真)

2012.1.27  印刷作品アーカイブ 

1月ももう終わりに近づいてきましたね。
今年はじめてのご紹介する一冊は、「透明人間 再出発」です。
サンエムカラーは本書の印刷を担当させて頂きました。
詩人の谷郁雄さん、写真は青山裕企さんが担当された
ミシマ社さんの一冊。

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特筆すべきことのひとつは、その造本設計。
タイトル通り、透明人間になった気持ちで読めてしまう、
1枚ごとに違う紙がはさまった(写真のページの上に詩が印刷された半透明のページが乗っている)
造本設計なので、まるで写真の上に文字が踊っているようです。
装丁の担当は、寄藤文平さん+鈴木千佳子さん(文平銀座)。
このような製本は、一般流通する本としては(おそらく)世界初の試みとの事。
(詳細は、ミシマ社さんの「製本の秘密」にも!)
実用新案登録された「ENバインディング」製法は、特殊な糊を使い、
厚みが1ミリ以下で紙を1枚づつ付けることができます。
丈夫で開き良く、勝手に閉じないというのが特徴。

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写真に文字がかぶっているようにみえる、
製本そのものと、写真+詩の作品がひとつになった一冊。

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同じ半透明のページをぺらりとめくって裏からみると、
もちろん文字も反転しています。

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詩のページをぺらりとめくった状態。
写真のページは青山さんの作品が印刷されています。
もちろん写真もすばらしいので、ぜひ詩のページをめくってみて
写真だけの世界もじっくりご覧いただければと思います。
サンエムカラーで印刷させて頂いたページのひとつです。

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分かるでしょうか?
交互に紙の素材が変わっています。

その他にも、ろう引き加工をほどこし
質感にこだわったページなどもあり、
こだわりが詰まった一冊に仕上がっています。
ぜひ書店にて、手に取って触れてみて下さい。

毎日一詩を書く詩人の谷郁雄さんが、震災後、一週間、筆をとれませんでした。
そして再び書き出した最初の詩が、題名にもある「再出発」でした。
ミシマ社HPより抜粋させて頂きました)

色々な想いがぎゅっとつまった一冊です。
詳細はミシマ社さんのHPでもどうぞ。
ぜひたくさんの方に手に取って頂きたいと思います。

印刷職人のしごとば-印刷女子
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