先日ブログで紹介した柴田祥さんの写真集、「津軽再考」が完成しました。前回ブログはこちらです。
表紙は漆黒の紙にシルクスクリーンで白を印刷しています。
表題などは無く、0か100かだけの表現はとても緊張感があり本の内容を補完しています。
本の題名や作者などの表記は背部分に印刷。
こちらは黒のクロスの上にシルクスクリーンで白を印刷しています。
掲載されている写真の多くはとても微妙なグラデーションの作品であり、このグラデーションを完璧に印刷することが最大のポイントでした。
今回は黒とグレーの2色のインキで印刷しています。ダブルトーンというものです。
グレーでライトからシャドーまでの細かな調子を表現し、黒でコントラストを付けます。
柴田さんの作品も素晴らしく、津軽の情景が伝わってきます。
美しく印刷されたグラデーションの靄と空を見ると、この写真が撮影された時間まではっきりと分かります。
サンエムカラーの印刷は高濃度にもかかわらず、ドットゲインが少ないという特徴があります。
このことで他の印刷会社より幅の広い表現が可能になっています。
また今回の作品ではFMスクリーンを採用しています。これも一般的なAMスクリーンより表現の幅が広がります。
ぜひ実際の印刷物を見ていただきたいところです。この写真はサンエムカラーの技術の結晶だと自負しています。
もちろん繊細な写真ばかりではなく力強い写真が見開きで並んでいるページもあり、見どころの多い写真集となっています。
製本前に柴田さんが書いたサインも無事に最終ページに入っています。
写真の掲載順に作家の思いがこもった物語を感じ取っていく、ぜひ一度この写真集をその目で確かめてください。
購入をお考えのかたは道音舎の特設ページから購入できます。
また、6月14日(金)から東京都中央区のISLAND GALLERYにて柴田さんの個展が開催されます。
個展では掲載写真のオリジナルプリントが見られます。
写真集とオリジナルプリントはそれぞれに良さがありますので見くらべて楽しんでみてはいかがでしょうか。
Art Book Director 前川