印刷職人のしごとばTOPICS

1冊の写真集が完成するまで⑦

2017.10.5  1冊の写真集が完成するまで 

サンエムカラーが、作家の方と協力して
新しい写真集を作り上げるまでの様子をリアルタイムで
お届けするシリーズ「1冊の写真集が完成するまで」。

 

第7回目の更新です。ついに写真集の完成をお伝えします。

 


 

第6回でお伝えした製本工程から、約一週間後。

サンエムカラーに、出来上がった写真集が届きました。

 

 

照井壮平さんの写真集「狼煙」、完成です。

 

 

表紙を開いたところから、照井さんの世界、
和歌山の自然が残る熊野・高野山、照井さんにとっての
「怪しく荒ぶる映像記憶」に引き込まれます。

 


背に施された濃いグレーのシルク印刷により、和歌山の夜の
世界が分断されることなく広がっています。

1ページ目を開いた時に切り取られて見える裏表紙と
コデックス装の背がとてもクールです。

 

背と同じく東美企画さんで印刷していただいたタイトルの白インキも、
取材時同様にエッジの効いたものになりました。

 

ダブルトーン(黒インキ+グレーの印刷)による
深いモノトーンで表現された写真からは、ワイルドで
怪しい空気がにじんでいます。

 

写真と同じく、静かながら力強い文章が、
熊野・高野山への想い、その姿を撮影することに
費やされるエネルギーの大きさを、見る人に
余すところなく感じさせるようです。

 

月が沈んで、和歌山の夜が終わります。
夢から覚めたような気分が残ります。

 

作品、デザイン、印刷、製本の全てが合わさって
ひとつのストーリーを完成させたということを
強く感じる仕上がりとなりました。

 

 

 

 

シリーズでお伝えしてきた、「一冊の写真集が完成するまで」。いかがでしたでしょうか。

初めての写真集を作りたい!そんな思いを持った
一人でも多くの方が、その第一歩を踏み出すきっかけになれば、
という気持ちでここまでお届けしてまいりました。

印刷会社だけでは写真集は作れません。
お伝えしてきたような製本会社を初めとした
多くの職人さんたちの力もさることながら、
全てはお客様からの「こんな本が作りたい」
という気持ちから始まります。

このシリーズで、写真集ができる工程を
お伝えするとともに、サンエムカラーには
作家さんの実現したい形・ご提案に対して
様々な形でお答えできるご用意があるということを
知っていただけたなら幸いです。

また、写真集・作品集を作る予定のない方も、
本棚にある1冊の本の後ろには、たくさんの
人の思いが隠れていることを頭の片隅に置いて
いただければ、本を眺めるワクワクがほんの少し
増えるかもしれません。

 

今回、このような形で取材にご協力いただいた
照井さん、硲さん、北浦さんには、心よりお礼を申し上げます。

写真集「狼煙」は、10/6(金)より東京で
開催されますTHE TOKYO ART BOOK FAIR 2017にて
販売される予定です。お近くの方、参加される予定の方は
ぜひ、実物をお手に取ってご覧ください。

また、「狼煙」の発刊に合わせて、道音舎様が
新たにブログ「道と本」を開設されています。
デザイナーの硲さんが、印刷や製本の仕様について
書いてくださっています。
写真集に関わるいろんな人から見た制作工程
をお届けできるのも、今回の企画の魅力ですので、
是非、併せてお読みください。

 

「一冊の写真集が完成するまで」は、これにて終了です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

◯「1冊の写真集が完成するまで」番外編はコチラから◯

 

________________________________

著者:照井壮平
発行:道音舎
デザイン:硲勇(ハザマデザイン事務所)
仕様:224×232・上製本(コデックス装)・112頁
定価:6400円+税

________________________________