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アートフェス「KG+」での展覧会「Maniac for Photographers サンエムカラー、印刷のほへと」開催中

2023.4.17  お知らせ 



株式会社サンエムカラーが主催する、8組の写真家による展覧会「Maniac for Photographers サンエムカラー、印刷のほへと」が始まりました!

本展では、美術書を主に扱う印刷会社サンエムカラーが、これまで手がけた写真家・アーティストの作品に、手を加えて再出力し展示します。たとえば、森山大道氏の作品は、モノクロ1色で刷った作品を使い、サイズを変えてトリプルトーンで再印刷をしました。

タイトルの「Maniac」は、前衛的・実験的な表現を求める写真家やアーティストを対象としています。「サンエムカラーが扱う印刷機は綺麗に刷れる」という実績展ではなく、印刷技術によって写真表現が拡張されることを実感していただけたらと思います。

本展は、京都市内各所で開催される展覧会「KG+」、協賛企業の主催による展覧会「KG+SPECIAL」内で行われます。

出展作家:前端紗季、金サジ、CMTK(森千裕×金氏徹平)、浅田政志、森山大道、Roland Hagenberg、麥生田兵吾、Kikoh Matsuura
主催:株式会社 サンエムカラー
ディレクション:木村浩(サンエムカラー)、大畑政孝(サンエムカラー)、北原和規 (UMMM)

会期:2023年4月15日(土)〜5月14日(日)11:00〜18:30(休館日:月曜日)
会場:堀川御池ギャラリー2F パブリックスペース
住所:〒604-0052 京都府京都市中京区押油小路町 油小路通御池押油小路町238-1
地下鉄東西線「二条城前」駅2番出口から徒歩3分
http://https://kgplus.kyotographie.jp/exhibitions/2023/%e3%82%b5%e3%83%b3%e3%82%a8%e3%83%a0%e3%82%ab%e3%83%a9%e3%83%bc/

 

・関連イベント
トークイベント「Maniac for Photographers サンエムカラー、印刷のほへと」

写真が印刷によってどこまで変化するのか——展示に関連したトークイベントでは、展示作品の解説だけでなく、日常的に写真に接している印刷会社の社員ならではの印刷機器、インク、紙、スクリーンなどのマニアックな知識をお伝えします。ディスプレイ内とは違ったアナログならではの写真表現に触れてみませんか? サンエムカラー初となるトークイベントへの出演になります。みなさんと交流できる機会を楽しみにしていますので、ぜひお越しください。

登壇者: 木村浩(サンエムカラー)、大畑政孝(サンエムカラー)、北原和規 (UMMM)
開催日時:2023年4月29日(土)14:00〜15:30
会場:くろちく天正館本店 2階
住所:京都府京都市中京区百足屋町380
参加費:無料(予約不要)
https://kgplus.kyotographie.jp/events/2023/12842/

プロフィール
木村浩:サンエムカラー入社時より写真集や作品集などのアート本の印刷・製本を担当し、写真界の芥川賞と呼ばれる木村伊兵衛賞など受賞作品にも多数携わる。近年はジャンルを問わずアーティストの作品制作を行う社内プロジェクトを立ち上げ、アーティストとともに自社導入機械を使用した作品制作を行う。

大畑政孝:サンエムカラー文化事業部マネージャー。UVプリンタを使ったアート制作、複製画事業。大型スキャナ等を使ったデジタルアーカイブ事業。写真集などのプリンティングディレクター、レタッチャー。印刷機などのカラーマネジメント。

北原和規:グラフィックデザイナー。2012年京都にてUMMM設立。書籍デザインの他、様々な美術にて宣伝美術・企画・空間・制作などを担う。KG+アートディレクター。



KG+
京都市内各所で開催される多彩な展覧会。2023年は80以上の展覧会が開催されました。KG+は、これから活躍が期待される写真家やキュレーターの発掘と支援を目的に、2013年よりスタートした公募型アートフェスティバルで、2023年に11回目を迎えます。京都から新たな才能を世界に送り出すことを目指し、意欲ある参加者を広く募集して展覧会を開催いたします。また、KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭との連携・同時開催を通して、KG+参加アーティストに、国内外のキュレーターやギャラリストとの出会いの場と情報発信の機会を提供します。市内各所で展開される多様な表現が地域と訪れる人々をつなげ、新たな発見や交流がうまれることを期待します。
https://kgplus.kyotographie.jp/


KG+SPECIAL
協賛企業やKG+が主催する展覧会です。活躍しているアーティストがキュレーションや企業サポートを受けることにより、より質の高い展覧会を実現します。企業のメッセージや取り組みなども見てとれる、作品と鑑賞者と社会を繋げる展覧会です。

高尾俊介 「Generativemasks」カサネグラフィカ制作

2023.3.25  印刷作品アーカイブ, カサネグラフィカ  , , , , ,

高尾俊介さんの手掛けるジェネラティブアート作品「Generativemasks」、
フィジカル版をカサネグラフィカの技法で制作させて頂きました。

10点制作された「Generativemasks」カサネグラフィカ版は、
2023年3月24日(金) – 5月21日(日)の期間、GYRE GALLERYで開催される、
『超複製技術時代の芸術:
NFTはアートの何を変えるのか?——分有、アウラ、超国家的権力——』 展
に展示されています。
https://gyre-omotesando.com/artandgallery/nft-art/


ジェネラティブアートは、プログラムなどを用いて数学的・機械的・無作為自立過程によってつくられた芸術作品です。Generativemasksもまた、プログラムのコードで制作され、10000点のコレクションはリロードする度に違うカラーリングになります。
https://generativemasks.io/

カサネグラフィカ版のGenerativemasksは、高尾さんにご来社頂き、会社見学とフリーディスカッションをするところから始まりました。これまでカサネグラフィカで制作したアート作品の事例やサンプルをご覧頂き、どういった質感や凹凸感を加えたら良いか検討し、想定されるアイデアを実際の作品でテストを重ねました。

テストを重ねる中、作品のテクスチャーや影の落とし方など、コードに手を加えて頂き、カサネグラフィカ版用に調整がされています。
また、レリーフのような凹凸を加えるにあたって、プリンタのチューニングも新たに構築しました。

 
途中の失敗作。浮き剥がれは、硬化の設定を変えることで解決した。

  
凹凸のステップチャート。右の円が高くなめらかに隆起するようリニアリゼーションから見直した。

また、今回一番のトピックは、凹凸の高さデータもコードで生成されている点です。
カサネグラフィカの凹凸データは、濃い所が高く、薄い所が低いアルファチャンネルで作成されています。
その凹凸データは、カラー画像から画像処理で生成するか、現物の高さデータをスキャニングして
プリントを行います。Generativemasksも当初はカラー画像から凹凸画像を制作する予定でした。

カラー画像から凹凸画像を作成する場合、高さの前後は色情報から作られどうしても狙い通りにはなりません。
ここを、高さ情報専用にコーディングし、そこから生成されたアルファチャンネルを使うことで、
画像の生成順に高さが積層される2.5Dプリントを実現する事ができました。

高さ情報をジェネレーティブしプリントする試みは、確認とってませんが、
前例が無いように思います。わりとさらっとデータが来たので、高尾さんの対応に衝撃を受けました。

https://twitter.com/takawo/status/1630945406829092867?s=20


プリントの方針が定まった後、支持体の検討を行いました。
高級水彩紙をはじめ、様々な候補のうち木彫りのマスクのイメージから、木材へのプリントが決定しました。
木材も様々な木目があり、ツキ板のサンプルからテストを行いました。


ツキ板のテスト。畳の上に置いたらネイチャー感が増しました。どちらもボツです。

最終的に厚みのある木材を選定し、本番のプリントが行われました。

インクを大量に積層し、凹凸を出しています。黒い凹凸だけのもカッコいいです。

  
惜しくもインクが落ちてしまったミスプリント。APとして社内に展示させて頂いています。3Dプリントほどではありませんが、浮世絵の版木のような風合いになりました。

高尾さんより、展示風景の写真提供頂きました。

 

高尾俊介さん




雑記
 オフセット印刷を主業務のサンエムカラーが、4年ほど前にSwissQprintを導入し、「カサネグラフィカ」という技法を名付け様々なアーティストの作品や文化財複製を行ってきました。
 当初あったのは、写真家がアートフェアでペインターに物理的質感で見劣りしてしまう、写真からコンテンポラリー・アートへ進出したいというニーズから、写真家の作風や意向にあわせた表現や質感を開発し、あらたな作家性として作品をつくる事が多かったように思います。
 次のフェーズとして、NFTアートやデジタルアートの作家が、デジタル作品をフィジカル作品を作るケースが増えてると最近感じています。UVプリンターでアート作品を作る行為も定着し、おそらく今後増えて来ると思います。
UVプリンタでアート作品を制作していて感じるのは、何にでもプリントできる、凹凸が加えられるトリッキーな特徴から、簡単に「面白プリント」「技術自慢プリント」になってしまう恐ろしさです。
これはトライアンドエラーの中で、いつもそこからどう脱するかを検討する難しさと面白さがあります。
デジタルプリントをアートとして成立させる難しさは、作家様が一番感じているように思います。
サンエムカラーは、ただ入稿したデータをプリントして終わりでなく、作家様の理想や良い予想外を提供できるよう体制を整えています。UVプリンターでアート作品づくりにご興味ある作家さま、ぜひ一度ご相談頂けると幸いです。

大畑政孝

「ART WEEK:PHASE 01」in 京都駅「烏丸公共地下道」ストリートギャラリー

2023.2.24  お知らせ 

本日より「ART WEEK:PHASE 01」と題して、サンエムカラーによる京都駅「烏丸公共地下道」ストリートギャラリーの展示が開始されました!

第一弾は、自然写真家 ビル・アトキンソン が天然石の断面を研磨して撮影したアート作品群。
ビル・アトキンソンはApple Computer社創設期の代表的なプログラマーの一人で、数多くのソフトウェアの開発者としても知られています。



サンエムカラーの色彩技術によって、石の内側に秘められていた色、形、願望までもが色鮮やかに表現されています。

お近くにお越しの際は、ぜひご覧ください!

 

開催場所:京都駅「烏丸公共地下道」ストリートギャラリー(ヨドバシカメラ マルチメディア京都様から東本願寺様に向かう方向)
開催期間:2023.2.24~3.10

「Sublima+コンテスト2022-2023」受賞!

2023.2.7  お知らせ, 受賞関連ニュース! 

昨年サンエムカラーが発行した作品が、日本アグフア・ゲバルト株式会社の「Sublima+コンテスト2022-2023」を受賞いたしました。
受賞した作品は以下の通りです。

 

カレンダー・ポスター部門 銀賞 空海の歩いた路 カレンダー2023
写真集・冊子部門 審査員特別賞 「10」 KOJO MASAYUKI 2012-2022

 

Sublima印刷コンテストとは


Sublima印刷コンテストは日本アグフア・ゲバルトが主催する印刷コンテストです。
アグフアの高精細スクリーニングSublima(スブリマ)の普及およびユーザー様同士が、その技術力を競い合うことで、単に高精細印刷を刷るということにとどまらず、「良い作品を刷るため」企画と印刷現場が一体となって、結果として、トータルな印刷技術向上を目指すという目的で2004年にスタートしました。
日本アグフア・ゲバルト株式会社のホームページより引用)


 

この度は栄誉ある賞を頂けたことを大変嬉しく思います。
受賞した作品をご紹介いたします。

 

カレンダー・ポスター部門 銀賞
空海の歩いた路 カレンダー2023

弘法大師空海の誕生1250年を記念して、空海の軌跡を迫力のある風景写真として切り取り、その生涯に思いを馳せることができるカレンダーです。
写真家・永坂嘉光氏によって捉えられた空海の足跡が、サンエムカラーの4K印刷技術によって表現されています。

こちらはご好評につき完売いたしました。

 

写真集・冊子部門 審査員特別賞
「10」 KOJO MASAYUKI 2012-2022

武人画絵師・こうじょう雅之先生の画業10周年を記念して制作された「複製原画集」です。
こうじょう雅之先生の作品の特徴である力強い筆致と繊細な墨のかすれを余すところなく再現するため、原画をサンエムカラーのギガピクセル・アートスキャナで取り込み、墨絵のページはFMスクリーン4K印刷のトリプルトーンで印刷いたしました。
FMスクリーンに長けたサンエムカラーのノウハウと掛け合わさり、他社では真似のできない最高級の「複製原画集」として完成した一冊です。

こちらはサンエムカラーのオンラインショップにて購入できます。
ぜひお手に取ってみてください!

 

2/1に開催された第38回アグフアユーザー会では、Sublimaコンテストの表彰式が行われました。

Sublima+コンテスト2022-2023授賞式の写真

サンエムカラーは美術印刷会社として、業界最高の技術でクリエイターの情熱に応えます。
印刷で叶えたい夢がございましたら、ぜひサンエムカラーにお問い合わせください!

京都市上京区の西陣織国際美術館で 「大地の女神(Gaia)」色彩複合アート工芸画展 開催中です。

2023.2.1  お知らせ 

アップル社創世記の伝説のプログラマー・ビル=アトキンソンが自然写真家に転じて撮影してきた岩石の断面の色彩豊かな世界を、サンエムカラーの印刷技術でさらにアートの世界に昇華させた展示会が、上京区上七軒の西陣織国際美術館で開催されております。

永い年月を経て地中に眠ってきた岩石が、太古の植物化石として現代によみがえりました。自然界が育んだ深遠で色彩豊かな世界を、同展示会で心ゆくまでお楽しみください。

会期:2023年1月18日(水)~2月26日(月・火曜日休館)
   10:00~16:00(最終入場15:30まで)
会場:西陣織国際美術館(アネックス館OPEN記念)

   京都市上京区一観音町428番地 とみやビル6階
入場料:無料
お問合せ:090-3165-4325(9:00~18:00)