印刷職人のしごとばTOPICS

アーティストたかくらかずきと弊社プリンティングディレクターの制作対談

2023.12.5  作品制作, 業務実績, 印刷作品アーカイブ, お知らせ 

サンエムカラーでは、美術館やギャラリーでの展示作品も印刷しています。アーティストと制作過程でコミュニケーションをして完成していくことも多々。

これまでに、クリエイティブコーダー・高尾俊介さん写真家・横山隆平さん、彫刻家・長谷川寛示さんとの制作風景を紹介しました。

今回の記事は、アーティストのたかくらかずきさんとの制作を紹介します。たかくらさんと一緒に数多くの制作を行った、弊社プリンティングディレクター大畑との対談になります。

たかくらさんは、デジタルデータと仏教とキャラクターをテーマにドット絵、3D、ゲーム、印刷、NFT、AIなどを使った現代美術作品を制作。東洋思想による現代美術のルール書き換えとデジタルデータの新たな価値追求をテーマにしています。

サンエムカラーは、たかくらさんとの作品制作で、UVプリンタでの凹凸印刷やレンチキュラー印刷などをキャンバスやモニターなどメディアを問わずに印刷を行い、作家の表現の可能性を広げています。

 

サンエムカラーとの出会いと制作




展示「アプデ輪廻 / APUDE RINNE ver3.0 -三途の川渡り」@KYOTO HAUS(2021年)作品「釈迦三尊図」レンチキュラー印刷/アクリルマウント

——たかくらさんとサンエムカラーの制作を紹介できればと思います。まずはサンエムカラーとの出会いを教えていただけますか。

たかくら 2021年夏に行った個展「アプデ輪廻 / APUDE RINNE ver3.0 -三途の川渡り」に、木村浩さん(サンエムカラーのクリエイティブディレクター・営業)が来てくださったことからサンエムカラーと繋がって、それから一緒に制作を始めました。大畑さんと会ったのは、最初に会社見学をした時で、レンチキュラーの印刷ができることを押していて、UVインクでレンチキュラーが作れることを知りました。

大畑 僕はたかくらさんの作風がデジタルアートやピクセルアートという認識でした。その時はちょうど社内でレンチキュラー技術が実用化した時期で、凹凸印刷よりも熱が入っていて。サンエムカラーでレンチキュラーが最初にできたのは4年前(2019年)で、性能があまり良くなかった。金氏徹平さん(現代美術家)の作品を何回か作っているうちに精度が上がってきて。

たかくら 金氏さんからレンチキュラーの印刷ができないですかと聞かれたんですか?

大畑 金氏さんに「こういうことができるんですよ」と言ったら「じゃあやろうかな」という流れになりました。サンエムカラーがUVインクでレンチキュラーが作れるなんて外部からわからないので、技術ができた時にちょっと伝えていて。

——UVプリントのレンチキュラーではない、基本的なレンチキュラーの印刷はどういった方法になりますか?

大畑 2通りの作り方があり、かまぼこ状のレンズシートに直接インクジェットなどでプリントするか、印刷物をレンズシートに貼るという方法です。なので、レンズごとプリントするような、うちの作り方は特殊ですね。縦と横のレンチキュラーが混在したり、1か所にだけレンチキュラーを入れることができるのは、サンエムカラー独自の技術で他であまり見たことないです。先日、UVプリンタの会社SwissQ主催のコンテストの出展作品を見ると、海外では何社かレンチキュラーを作っていたので頑張ればできることなのかなと思います。

たかくら なるほど。気になっていることを聞いてもいいですか。UVインクでレンチキュラーをプリントする技術はどうやってできたんですか。

大畑 凹凸や透明をプリントできるSwissQのプリンターを社内に導入した時、その中にレンチキュラーのようなプリントをできるドロップティクスという機能が付いていました。しょうもない話ですが、それは年間ライセンス料を払うと使える機能で結構高い。そんな時に社員の村田が「自分たちでレンチキュラーを作れるんじゃない?」と言い出して、社員の惣引がレンチキュラーのことを0から勉強して、透明インクでレンズをプリントする方法を編み出したという経緯があります。

サンエムカラーの場合、レンチキュラーの歴史があるわけではなく、10年以上前に社内でレンチキュラーの結構高いアプリを導入して試していました。その経験があったので、UVインクでレンチキュラーを作れました。ただ、現在UVインクでレンチキュラーを作っていますが、普通のレンチキュラーを製作する経験はあまりないです。レンチキュラー専業の会社とは全然違う流れを辿っていて、UVプリンタでアートピースを作るというコンセプトから派生してレンチキュラーができたので、レンチキュラーありきではないという独特なポジションとなっています。

たかくら レンチキュラーは、僕も考えた結果にたどり着いた制作方法でした。「デジタルの作品をただ印刷しただけではアートピースにならない」と言われていた時代から僕はデジタル作品や印刷作品を作っていました。そこで、2次元である平面作品に時間や立体感など、プラス一次元の要素を入れ込む技術のひとつとして、レンチキュラーが適しているのではないかと考えました。レンチキュラーであれば、デジタル印刷作品である意味を十分に生かしたままアートピースとして成立させられる、と思ったのです。2016年に梅沢和木(梅ラボ)くんとの2人展「卍エターナル・ポータル卍 輪廻MIX」が初めてで、その時はレンズだけ買って自分で貼り合わせてみたんですけど難しくて、まっすぐ貼れずにモアレが出たんですよ。

大畑 正確に貼ることは大変なのと、レンズピッチにしっかり合わせて印刷するのが難しいので。

たかくら そうなんですよね。ピクセル換算してインクジェットでプリントしたものを貼る方法でした。もちろん動くといえば動くし、モアレの部分が逆に面白かった。このスキルを極めていったら、僕はデジタルアーティストというよりはレンチキュラーアーティストになっちゃうなと思って、それから外注しだしました。2017年にリクルートでの展示「有無ヴェルト」では、1m×1mぐらいのレンチキュラーの作品を作りました。レンチキュラー作品、なかなかいいぞと思っている時期に、サンエムカラーでレンチキュラーを印刷できる、という話を聞きました。レンズを印刷するってどういうこと!?とかなりびっくりしました。

キャンバスに凹凸印刷




作品「EMOJI KAIDO 53 NIHONBASHI」(2021年)

——それから初めて一緒に作った作品はなんですか?

たかくら 初めて一緒に作った作品は2022年のART FAIR TOKYOに出展した、絵文字で東海道五十三次をモチーフにしたシリーズだったような……。その頃、僕はキャンバスを作っていませんでしたが、YODギャラリーさんからキャンバスの作品を売りたいという話をいただいたことがきっかけです。

データで作ったものをプロジェクションしてわざわざキャンバスに肉筆で書いたらアートピースとしてOKだとか、印刷物でも上から絵の具で加筆することでユニークピースとして成立する、というアートワールドのルールに疑問があって、どうしてもその流れには乗りたくなかった。とりあえず絵の具がついてればアートピースとして成立するってのはおかしな話だなと。デジタルで一生懸命に描いていても、デジタルというだけで簡単でお手軽、誰でもできると思われがちなので、そんなことはないぞと。僕はデジタルそのものに価値を持たせたかった。そこでサンエムさんと一緒に凹凸でプリントすれば、キャンバスとしても成立するし、現代のそういったアートピースとデジタルデータをめぐる「決まりごと」にも疑問を投げかけることができるぞ!と思いました。

大畑 凹凸データの作り方はすぐ慣れましたか?

たかくら すぐ慣れました。凹凸データ用のレイヤーが、黒ければ黒いほど盛り上がって、白ければへこむという簡単なルールなので。僕の作品はグラデーションがあるというよりも色がパキッと分かれているので相性が良い。

大畑 うちの部署の社員は日常的に凹凸データを作っているので、データを見て仕上がりが大体わかります。たかくらさんが「ここをこだわっているな」「こういうことしたいんだな」というのがわかるので、データが届いてから社内で盛り上がることがあります。うちで普段アートピースを作る作家さんは、凹凸のデータはほぼお任せなんです。たかくらさんのように作家さんで狙いを考えてデータまで作る作家さんは少ない。

たかくら デジタル上で想像したものが想像通りに刷り上がってくるかが印刷の楽しみな工程です。焼き物が窯から出てきた瞬間に似ています。

僕はサンエムで作る作品を「絵画のプラモ」と呼んでいます。先に全部立体を造形してから、最後に一気に塗装する工程がプラモデルに近いと思っていて。だから、絵画のフォーマットをコピーしたジオラマのような雰囲気の作品になります。

 

モニターの上に印刷


展示『アプデ輪廻 ver4.0 天国・地獄・大地獄』@TOH (代々木) 作品「天国・地獄・大地獄」モニターにUV印刷/NFT付き映像作品



作品「MIROKU PAD」(2022年)

大畑 その前に2021年の冬の個展で、PCモニターとKindleに印刷しましたよね。モニターを破壊しなきゃいけないし、ヤスリをかけなきゃいけないし。楽しかったです。

たかくら そういえばそうですね。「モニターに刷れるじゃん」と思い付いて、最初Kindleにプリントしようとしたら、タッチセンサーのためにシリコンで保護されていて。シリコンにはプリントが乗らないから、一生懸命シリコンを剥がしてみたり。木村さんと電気屋まで行ってフィルムを買いに行ったり。

大畑 それから最終的にフィルムにプリントして貼ってましたね。その時、たかくらさんがモニターの上に絵の具を書く行為をすごくディスっていた。

たかくら ディスというわけじゃないですけど、とりあえず絵の具を付けたらアートになるという美術業界の制度自体を批判しています。要は、絵の具を付けたら価値が付くということは、デジタルに価値がないと言っているのと一緒。デジタルで作ったものが価値として成立するようにしたいので、モニターに刷りたくなったんだと思います。

また、印刷自体も紙にしか刷れなかった時代の感覚のまま、アートピースより劣っているとか量産のためのものだと認知されていて、それがアップデートされてない場合が多い。昔と比べて今の印刷は絵の具より耐久性があったり発色が良いので、そういった感覚を作品で変えることができたらいいなと僕は思っています。なので、基本的には作品のディスではなく制度批判をしています。

 

凹凸データにAIを導入




作品「不動明王VS酒呑童子【大阪】」

たかくら 2022年夏の個展のシリーズです。 この時からAIの生成ツールを素材として使い始めました。背景はAI生成したものを複数コラージュし、その上に自分で加筆して、このシリーズで初めてめっちゃでかい100号の大きさを印刷したんです。

大畑 この頃からAIの筆致が入ったので、凹凸データがまた複雑になった。 

たかくら この時にQRコードも凹凸で印刷していますが、凸凹では読みこめない(笑)。あとからそれに気づいて、最近は平らにしています。僕の作品はNFTとセットになっていていて、それとリンクしたQRコードです。デジタル印刷した作品は原理的には量産可能ですが、NFTによって唯一性を付与しています。

——3Dプリンターとは違った凹凸印刷ならではの利点はありますか?

たかくら それは絵画との接続がしやすいところです。絵画的な筆致やストロークを作れて、解像度を調整できることは僕にとってはありがたい。昔ドット絵の界隈では「他の解像度を混ぜるな」という話がありましたが、僕はあくまで美術の文脈に乗せたい。ドット絵でありながら美術の文脈に乗せるにはやはり絵画的な仕上がりになった方が良い。

大畑 3Dプリンターの事業も行いたいですが、3Dデータは印刷とは別ジャンルなんですよね。3Dプリンターは色再現や解像感がまだ物足りない。それももうすぐ時間の問題で、高性能の3Dプリンターが出てきています。

 

動画が動いているモニターにレンチキュラーを印刷

企画展『アートは魔術/土色豚選抜展その2』(2023年)『HYPER神MIRROR』はそれぞれのモニターにUV立体印刷とレンチキュラー印刷を施し、中の映像作品とセットになった3つの作品である。それぞれが『ハイパー神社』と共通する『jpg』『png』『gif』の3つの拡張子をモチーフとした神が祀られている。それぞれのモニターはデジタルデータを祀る神殿として機能する。

大畑 これは3種の神器の鏡みたいな作品でしたね。

たかくら そうですね。神社がテーマにある編集者の後藤繁雄さんと株式会社ゆめみと共同開発したシリーズ「ハイパー神社」です。jpegやPNGなどの拡張子をキャラクター化してモニターを拝殿に見立てました。

モニターに表示されるピクセルをそれぞれアニメーションさせることで、鑑賞者が左右に動くことなくアニメーションをしていて、鑑賞者が左右に動くとレンチキュラーによりキャラクターが変化していくという作品をつくりました。

これはレンチキュラーをモニターのピッチにピッタリ合わせて作らなければいけない、いわゆる「特注サイズのレンチキュラーレンズ」が必要なので、レンチキュラーレンズを印刷するというサンエムさんのテクニックがあってこそのものだと思います。

大畑さんとお話ししているときに、「レンチキュラーをモニターにやったらどうなっちゃうんだろう!?」って盛り上がったことがあって、それを満を辞して実際にやってみたのがこの作品です。

最初に何度かテストを繰り返していて、僕個人としてはnintendo 3DSの裸眼立体視モニターをイメージしていたので、仕組みとしては多分できるな、と思っていたのですが、実際に印刷してみるとレンチキュラーをモニターのピッチにピッタリ合わせる必要があるので、レンチキュラーを印刷したアクリル板をモニターにずれないように止める方法や、データ作成も動画データ×レンチキュラーのレイヤー数だけ作るので結構複雑だったりしました。

サンエムさん、そしてアクリルをモニターに貼る作業をしてくれたガミテックさんのご協力があってなんとか完成した、という感じです。

そんな感じでハード面はなんとかうまくいったのですが、ソフト面の問題も発生したりして。今まで動画作品に使っていたmp4プレイヤーだと圧縮率が高すぎて、ピクセルがボケてしまうからレンチキュラーがうまく動かなかった。だから、無圧縮のボケないデータを使わないとレンチキュラーが綺麗に動かない。

大畑 圧縮でドットバイドットになってないのかな。

たかくら 無圧縮になると何ギガとか大きなデータを動かすので、今まで使っていたプレイヤーでは動かなかった。展示前日に僕はchromebookを買いに走るというミッションが発生したり。いろいろと大変ではありましたが、この技術はかなり面白いと思っていて、個人的にはとても気に入っています。サンエムさんと一緒に共同で開発した感じもすごく嬉しかった。

映像というのはそもそも縦、横、時間の三次元のメディアなんですが、それにレンチキュラーを足すことで四次元が表現できる。しかもその四次元目というのが3DSみたいなものだったら「奥行き」になるんですが、この作品の場合「レイヤー」なんですよ。同じ位置にレンチキュラーによって別々のものを配置できる。まさにマルチバース的だなと思っています。この技法の作品はまた「満を辞して」再チャレンジしたいなと思っています。

  

https://www.youtube.com/shorts/mHx6tlraPYU

作品「ハイパー神社」(2023年)

UVプリントに箔を貼る

  


個展『メカリアル/MECHAREAL』@山梨県立美術館(美術館内/庭園/メタバース)(2023年)

たかくら この作品は山梨県立美術館での作品です。印刷と箔の組み合わせの作品を作りました。サンエムさんにUVプリントしてもらった後に、サンエムさんの社員さんの修復士に箔を貼る作業もしてもらって。彼の話によると、膠(ニカワ)はUVとの相性が悪くて剥がれるから、樹脂を使って貼ったそうです。玉虫箔という玉虫色に光る、銅を薬品加工した箔です。僕は大学院で日本画を専攻していたので、箔の扱いや種類をある程度知っています。ぴっちり印刷されたドット絵の凹凸と箔のメタリックな感じの相性がすごく気に入っています。

大畑 写真は、箔を張るための作業です。こういう状態で箔を貼ります。箔はノリが乗ってないところを拭けば、ノリの乗ったところだけに箔が付きます。ただUVインキ特有のちょっとした粘度によって、ノリを塗ったところも塗ってないところも、全部箔がついてしまう問題もありました。

——たかくらさんは絵画的な手法を積極的に取り入れていますね。

たかくら そうですね。この作品は、山梨県のシュルレアリストの米倉壽仁さんの詩の内容をAIに入れて出てきた絵をコラージュしました。山梨には道祖神が多いので、道祖神がモチーフになっています。この頃になると、サンエムさんの印刷、箔を貼る人、AI、僕のコラージュや直筆とか、何人もの人の手が入っていて、誰が作ったのかがわからないようになっていますね。この時が要素が1番モリモリかもしれないですね。

——地元の県立美術館だから気合を入れてますね。

 

モニターとキャンバスに印刷して組み合わせる

https://www.youtube.com/shorts/xKGfCgNWu24
作品「EMOJI POT」(2023年)

たかくら 美術館での展示自体が初めてだったので。この後、壺のシリーズを作り始めてから、AIが減ってほとんど手書きになりました。2023年はほとんど壺を書いていますが、これは1番大きいモニターの作品です。周りの淵がキャンバスで、真ん中がモニターで、どっちにもUVプリントしてあるという作品です。みんなモニターの作品を欲しがらないけれど、キャンバスの作品は欲しがるので。

大畑 この時にキャンバスの真ん中にモニターをはめ込むのを初めてしましたよね。これは複雑でした。

 

プラスチックのおもちゃに印刷して組み替える

 

 
作品「100万回生きた壺」(2023年)

たかくら 最新の作品は、レゴを板状にして印刷して、それを組み替えて壺を作りました。組み立てるのが大変でしたが、その後にレゴの壺を割りました。

大畑 割って大丈夫だったんですか?

たかくら バッチリですよ。レゴは耐久性が高いですね。ばらける分、個体には傷がついてない。この作品では、デジタルには可逆性があってフィジカルは不可逆だけど、レゴは可逆性があるということがコンセプトです。要は壊しても戻せるのが、すごくデジタル的だなと思っていて。これは10月26日からのYODギャラリーのグループ展に出展します。

——今までで1番気に入ってる作品はありますか?

たかくら 1番気に入ってる作品ですか。モニターに印刷してる作品は全部気に入っていて、モニターに印刷することは続けたいです。それは僕のメインテーマともいえます。モニターから出ることができなかった存在が、モニターの外側に出ていくことを目指していて。モニターに別のものが付いてるのではなく、デジタルの中にあったはずのものが外側に出ているという表現です。モニターの外部と内側が映像で繋がってるのは、境界線を越えるという表現としていいなと思っています。

あとは、キャンバスにはレンチキュラーがプリントできないので、キャンバスとして成立しつつレンチキュラーとしても成立するものをどう作るかを今後チャレンジしたい。そして、モニターレンチキュラーですよね、これはデータを作るのも作業もとにかくヘビーなものですが、やっぱりマスターピースとして作っていゆきたいなと思っています。何にでも次元を追加できるってレンチキュラーのすごいところです。

大畑 たかくらさんにお伝えしてなかったかもしれませんが、社内のレンチキュラーの技術は日に日に向上していて、アクリルでなくてもレンチキュラーがプリントできるようになりました。もしかしたら板張りした平滑な和紙の上だったら、レンチキュラーができるかもしれません。キャンパスは網目があるので、目の細いキャンバスの上ならやってみる価値はあると思います。

たかくら それは楽しみです。あとはアクリル板をキャンバス型に組むなど、いろいろ方法がある気がします。ただ、レンチキュラーのネックは、絵画的な質感と結構かけ離れていることかなと思っています。レンチキュラーは割と映像やデザインの質感に近い。絵画の質感を残しつつ、レンチキュラーの要素が入った作品が作れたらいいなあと思っています。あとは小さいモニターの作品とかもいいですよね。

大畑 モバイルモニターはできそうですもんね。

たかくら それは良さそうですね。それをキャンパスに埋め込むことはできそう。そういうのを楽しみにしています。

 

アトリエ(制作スタジオ)としてのサンエムカラー

——ありがとうございます。そろそろまとめに入ってもよろしいでしょうか。

たかくら そうですね、すごい面白かった。僕を含めたデジタルの作家にとってサンエムさんには個人にできない技術があるので、アンディ・ウォーホルのファクトリー的なアトリエの要素を持っているということは大きなことです。そういう場に参加させてもらえてるのは嬉しい。アンディ・ウォーホルの時代はアーティストがアトリエを持っていましたが、僕はそういうコストを維持するお金も空間もない。作家が家で作ったものを持ち寄りサンエムさんが現実に展開してくれる。これはとても現代的な関係性だと思います。

大畑 UVプリンターでアートピースをプリントする事業を始めた時に、最初は文化財や日本美術の複製を目的に始めました。個人的にハマったなと思った事例はデジタルアートのフィジカル化です。デジタルデータを物体化する面白さは、UVプリンターのマテリアルを選ばないことや物理的に質感を作れることがあります。たかくらさんとの取り組みの中で気づいたことは多いので、いろいろな作家さんと制作したいですね。

それには個人的な思い入れもあり、昔パソコンで音楽を制作していた時に、デジタルで音楽を作ることに対する外部からの批判だったり、自分で勝手に感じてしまう変な劣等感などの抑圧がありました。ただ、デジタルの作品が人の気持ちを動かす表現としては変わらない。デジタルアーティストの作品をフィジカル化することは、そことどこかで繋がっています。あとは単純に面白さを感じています。

たかくら 僕も同じ気持ちです。アート業界では、デジタルということで楽をしてるんじゃないかという空気感がある。そもそもデジタルの時点でかなり手を動かしてるので、 絵の具を使ってないから書くの楽でしょみたいなのは誤解だと思っています。僕とサンエムさんのやってることは、ただの外注というよりもコミュニケーションを取りながら、新しい作品を作っていると僕は思っている。新しい作品やそれに伴う思想を印刷によって一緒に実現化する作業は、すごく楽しいことです。

 

展覧会情報

たかくらかずき個展「可能性の壺」

会期:2023年11月21日(火)~12月6日(水)

時間:11:00~20:00 ※最終日のみ18時閉場

会場:京都 蔦屋書店 6F アートウォール

主催:京都 蔦屋書店

入場:無料

お問い合わせ:075-606-4525(営業時間内)/kyoto.info@ttclifestyle.co.jp

特集ページ:https://store.tsite.jp/kyoto/event/art/36800-1759191025.html

浮世絵約30数点を“手で触れられる”浮世絵複製画展
「市川團十郎と歌川派の絵師たち」、開催のお知らせ

2023.11.17  カサネグラフィカ, 展覧会・イベント情報, お知らせ 

浮世絵複製画展
「市川團十郎と歌川派の絵師たち」展

株式会社サンエムカラーなどによる「市川團十郎と歌川派の絵師たち」展実行委員会は、浮世絵複製画展「市川團十郎と歌川派の絵師たち」展を、2023年12月3日(日)から12月25日(月)まで、大垣書店京都本店イベントスペースで開催いたします。


・江戸歌舞伎の浮世絵、複製画約30数点と原画1点を展示
本展では、江戸歌舞伎をけん引した七代目、八代目、九代目の團十郎の姿が描かれた浮世絵の複製画約30数点を展示します。当時、團十郎三代の活躍を世の中に伝えたのは、歌川派を中心とした浮世絵になります。これらの複製画は日本有数の個人浮世絵コレクションである、浅井コレクションから作成。「歌舞伎十八番の内・総角の助六(あげまきのすけろく)」(1896年・九代目市川團十郎)は原画と複製画を展示。原画と見比べて複製画が肉眼では寸分違わないことを確認できます。

・100年続く浅井コレクションから厳選
今回の展示品は、“浮世絵とは、江戸時代の世相の最大の証言者である” という信念に基づいて、初代浅井勇助氏が浮世絵の蒐集を始めて現在に至る「浅井コレクション」の中から選び抜かれました。その数は3万余点にもおよび、それをもとに刊行された浅井勇助著『近世錦絵世相史』(全8巻 平凡社刊)、『錦絵日本の歴史』(全4巻 日本放送 出版協会刊)などは、錦絵による世相史研究の嚆矢(こうし)となっています。

・複製画なので、作品に触れることが可能
本展の浮世絵の複製画は、来場された方の手で触ることができます。視覚と触覚で浮世絵の質感が堪能できる、国内では珍しい展示となります。また視覚障害のある方にも浮世絵の魅力に触れていただけたらと思います。

・江戸に想いを馳せる関連グッズを販売
本展では、図録、グッズ、浮世絵複製画、関連本も販売いたします。手ちぎり越前和紙ポストカード、和紙風チケットファイル、風呂敷、てぬぐい、和綴じノート、今治タオルハンカチ などが並び、「和」を意識したグッズ展開となっています。

・十三代目襲名式と同時期に開催
ちなみに「當る辰歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎 市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台」が京都・南座で、2023年12月1日(金)から開幕。南座から徒歩17分の大垣書店京都本店での開催になり、この襲名披露興業を寿(ことほ)ぐ企画でもあります。

 

開催概要

浮世絵複製画展「市川團十郎と歌川派の絵師たち」展

江戸の文化文政から明治まで、江戸東京の歌舞伎を牽引してきた市川團十郎三代の軌跡を、爛熟期の浮世絵でたどる展覧会を開催します。文化文政期、七代目が歌舞伎を江戸が誇る町民文化にまで高め、天保の改革による弾圧のなか、江戸一番の美男子だった八代目がその人気を支えました。そして明治時代、九代目が近代歌舞伎を切り拓きます。こうした團十郎三代の活躍を世の中に伝えたのは、当時最盛期を迎えていた歌川派を中心とした浮世絵師たちでした。

浮世絵複製画展「市川團十郎と歌川派の絵師たち」展では、江戸歌舞伎をけん引した七代目、八代目、九代目の團十郎の姿が描かれた浮世絵を中心に複製画約30点を展示します。これらの複製画は日本有数の個人浮世絵コレクションである、浅井コレクションから作成。なお、本展の浮世絵の複製画は、来場された方に手で触ってもらうことができます。視覚と触覚で浮世絵の質感が堪能できる、国内では珍しい展示となります。100200年前の浮世絵を見て触れて、あなたも歴史の証人になってみませんか。

出展作家:歌川豊国、歌川国貞、歌川国芳、豊原国周など

開催概要

イベント名称 :浮世絵複製画展「市川團十郎と歌川派の絵師たち」展
開催期間 :2023123日(日)~1225日(月)10:0022:00(最終日のみ17:00まで)
開催場所 :大垣書店京都本店イベントスペース
入場料   :無料
住所    :〒600-8565 京都市下京区四条通室町東入函谷鉾町78 京都経済センター SUINA(すいな)室町1F(京都市営地下鉄烏丸線「四条駅」下車、阪急京都線「烏丸駅」下車、26番出口直結)
主催:「市川團十郎と歌川派の絵師たち」展実行委員会・大垣書店


媒体掲載

本展はいくつかの媒体で紹介いただいています。ぜひご覧ください。

「京都観光Navi」
https://ja.kyoto.travel/event/single.php?event_id=9158
「デジスタイル・京都」
https://www.digistyle-kyoto.com/event/37920
「KYOTOLIFE」
https://www.life-info.co.jp/ukiyoe_sunm/
「Kyoto Love. Kyoto」
https://kyotolove.kyoto/I0000582
「ススミカマガジン」
https://susmca.com/danjuro-and-utagawa-ukiyoe/
「京都で遊ぼう ART」
https://www.kyotodeasobo.com/art/exhibitions/danjuro-utagawa/index.html

ラジオ局FM京都の番組「ONE FINE DAY」(DJ:寺田有美子)で11月12日13:00頃に紹介されました。

江戸歌舞伎と浮世絵の関係性

江戸時代後期から末期は、江戸文化の爛熟期でもありました。歌舞伎も、その江戸文化を代表するもののひとつとして大変な人気となっていたわけですが、その歌舞伎とのコラボレーションで全盛期を迎えていたのが浮世絵(錦絵)でした。

とりわけ豊国、国貞の歌川派は、歌舞伎役者や名場面を描いて人々から大きな支持を得ていました。 当時、歌舞伎界を代表する名優、七代目市川團十郎は、歌川国貞と懇意にしており、團十郎を描いた浮世絵(錦絵)は、その人気と相まって、大いに売れたと言います。こうして歌舞伎界の大名跡、市川團十郎の波瀾に満ちた活躍は、浮世絵(錦絵)によって現代に伝えられることになりました。

 

七代目、八代目、九代目團十郎の歴史に残る逸話(エピソード)

・七代目 市川團十郎

七代目市川團十郎は、豪快ななかにも男らしい色気がただよう芸風だったらしく、市川宗家のお家芸である荒事をよくするほか、四代目鶴屋南北と組み『東海道四谷怪談』の民谷伊右衛門のような悪役をやって人気を取った。いわゆる「色悪」の領域を確立した人物である。

天保3年(1832年)、息子・六代目市川海老蔵に八代目團十郎を継がせ、自身は五代目市川海老蔵を襲名する。このとき成田屋相伝の荒事18種を選んで「歌舞妓狂言組十八番」と題した摺物にし、これを贔屓客に配った。これが「歌舞伎十八番」となった。七代目團十郎改メ五代目海老蔵は、市川宗家=荒事の本家=江戸歌舞伎の権威、という図式を完成させた。また現代使われている「おはこ」という言葉は「歌舞伎十八番(じゅうはちばん)」の台本を箱入りで保存したことに由来するといわれる。

天保13年(1842年)、天保の改革の旋風が吹き荒れるなかで、海老蔵は突如江戸南町奉行所から手鎖・家主預りの処分を受け、さらに江戸十里四方処払いとなる。これによって江戸の舞台に立つことが不可能となった海老蔵は成田屋七左衛門と改名。一時、成田山新勝寺の延命院に蟄居したのち、駿府へ移る。その後さらに幡谷重蔵と改名して大坂へ昇り、京・大津・桑名などで旅回り芝居の舞台に立った。追放の直接の原因は、奢侈禁止令に触れる派手な私生活と実物の甲冑を舞台で使用したというものだったが、要するに罪状は何でも良く、その目的は江戸歌舞伎の宗家として江戸っ子の誰もが認める「あの團十郎」を手厳しく処罰することにより、改革への腰の入れようを江戸の隅々にまで知らしめることにあった。

・八代目 市川團十郎

「助六」の舞台上で、八代目が身を沈めた桶の水を美顔水としてとっくり1瓶1分(現在の価格で3000円ほど)で販売すると飛ぶように売れた。なかには八代目の痰を「団十郎の御痰守」として販売する者までいた。

・九代目 市川團十郎

1887年(明治20年)、演劇改良運動の一環として、明治天皇の御前で初の天覧歌舞伎を催すという栄誉に浴し、「勧進帳」の弁慶などを務めた。この天覧歌舞伎は外務大臣・井上馨邸で開催されたが、九代目は井上のほかにも演劇改良会を通じて、伊藤博文や松方正義などの元老とも交流を持ち、歌舞伎俳優の社会的地位の向上につとめた。

 

「市川團十郎と歌川派の絵師たち」展実行委員会について

社名   :株式会社サンエムカラー
本社所在地:〒601-8371京都市南区吉祥院嶋樫山町37
代表取締役:松井勝美
設立   :1985810日 設立
事業内容 :8K印刷(超高精細印刷)
      カサネグラフィカ(次世代高精細複製)・ジークレー版画
      カタログ・パンフレット・チラシ等の企画・印刷・加工
      FMスクリーン印刷 LED-UV印刷
      高濃度印刷
      特殊印刷レプリカ印刷・ルミナアート印刷
      グッズ企画・制作・販売
ウェブ  :https://www.sunm.co.jp/

社名   :橘企画株式会社
設立   :201011
代表   :橘 倍男
所在地  :〒101-0047東京都千代田区内神田1-10-8 ハゴロモビル2階
事業内容 :カレンダーの企画・製作・販売
      キャラクター商品の企画、開発、販売
ウェブ  :https://www.sunexcelartcalendar.com

 

本展への問い合わせ

担当者:「市川團十郎と歌川派の絵師たち」展実行委員会 吉田
メールアドレス:yoshida@sunm.co.jp
電話番号:サンエムカラー内実行委員会 075-671-8458


国際的コンテスト「Innovation Print Awards 2023」で最優秀賞をYOSHIROTTEN『SUN BOOK』が受賞

2023.11.14  お知らせ, 受賞関連ニュース!, 印刷作品アーカイブ  ,

 

サンエムカラーで印刷をしたアートブックが最優秀賞を受賞

富士フイルムビジネスイノベーションが主催するデジタル印刷に関するコンテストプログラム「イノベーション・プリント・アワード(Innovation Print Awards)」は、2008年からアジア・パシフィック地域で開催しています。

国内外のデジタル印刷作品を評価するコンテスト「Innovation Print Awards 2023」入賞作品が発表されました。日本からは最優秀賞含む計4作品が入賞。

通算で16回目の開催となる本年度は、アジア・パシフィックの11の国と地域から275作品の応募があり、その中から39作品が入賞作品として選出されました。また今年の最優秀賞作品には、トナーとインクジェットというそれぞれ異なる技術を活用した2作品が選出されました。

最優秀賞のインクジェット部門の受賞作が、サンエムカラーで印刷を行なったアートブックYOSHIROTTEN『SUN BOOK』になります。


2023年度イノベーション・プリント・アワード

最優秀賞 Best Innovation Award 2023(インクジェット)

作品名:”SUN BOOK” by YOSHIROTTEN

企業名:株式会社サンエムカラー(京都府京都市)

出力機種:Jet Press 750S

作品説明:デザイナーYOSHIROTTEN氏による、アート作品365点からなる、展示会用アートブック。「高濃度でダイナミックレンジが広く、シャドー側の表情が豊かな印刷」を、デジタル印刷機Jet Press 750Sで実現。表紙は12色のバリエーション、6センチの厚さがある小口部分に箔を施すなど、個性的な外観を持つ。365部限定販売。

https://sunproject.ydst.io/

 

最優秀賞だけでなくダブル受賞

2023年度イノベーション・プリント・アワードでは、「最優秀賞 Best Innovation Award 2023(インクジェット)」だけでなく、日本入賞作品「芸術関連製品」部門 第1位も受賞しています。

下記の公式サイトで、他の受賞作品もお楽しみください。

・「イノベーション・プリント・アワード」(日本語)https://www.fujifilm.com/fb/company/event/innovationprintawards

・「イノベーション・プリント・アワード」(英語)https://www.fujifilm.com/fbglobal/eng/company/news/release/2023/2668

・「イノベーション・プリント・アワード」プレスリリースhttps://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000118297.html

・『PJ web news』「富士フイルムBI、IPA2023で日本から最優秀賞含む4作品が入賞」
http://www.pjl.co.jp/news/global/2023/11/16819.html

・『時事通信』「国内外のデジタル印刷作品を評価するコンテスト「Innovation Print Awards 2023」入賞作品発表」
https://www.jiji.com/jc/article?k=000000021.000118297&g=prt

・『NEWPRINTING』「富士フイルムHD デジタル印刷作品を評価するコンテスト「Innovation Print Awards 2023」でサンエムカラーが最優秀賞」
https://www.newprinet.co.jp/%e5%af%8c%e5%a3%ab%e3%83%95%e3%82%a4%e3%83%ab%e3%83%a0hd%e3%80%80%e3%83%87%e3%82%b8%e3%82%bf%e3%83%ab%e5%8d%b0%e5%88%b7%e4%bd%9c%e5%93%81%e3%82%92%e8%a9%95%e4%be%a1%e3%81%99%e3%82%8b%e3%82%b3%e3%83%b3


本作にご協力いただいた皆様には感謝しております。海外でも認められる印刷ということになりました。今後ともより良い印刷を行なっていければと思いますので、お気軽にご連絡をいただけましたら幸いです。

 

シンガポールでの授賞式の様子

イノベーション・プリント・アワードの授賞式は、シンガポールで開催。アジア圏の各国から受賞者が集ました。サンエムカラーからは、本作の営業の篠澤とプリンティングディレクターの大畑が授賞式に参加しました。会場の様子を少々お届けします。


オフィシャルパートナーとして協賛「Art Collaboration Kyoto」内覧会レポート

2023.10.27  お知らせ, 展覧会・イベント情報  , , ,

京都最大級の現代美術のアートフェア

Art Collaboration Kyoto(ACK)は、「コラボレーション」をコンセプトに、京都で開催する現代美術のアートフェアです。2023年は10月28日(土)から30日(月)に開催。今回、内覧会に参加しました。ぜひご参加ください。

サンエムカラーは、オフィシャルパートナーとして毎年協賛。2021年と本年にアーティストの金氏徹平さんの作品を印刷を行いました。ACKの印刷物(チラシ、B2ポスター、ハンドアウト)も担当しています。お手に取ってみてください。

 

ACKは、国内と海外、行政と民間、美術とその他の領域等、様々な分野とのコラボレーションを実現し、新たな可能性を開く機会として開催されています。

会場となる国立京都国際会館では「ギャラリーコラボレーション」と「キョウトミーティング」の2つのセクションを設け、出展ギャラリーが作品の展示・販売を行うほか、ACKが主催するACK Curatesの「パブリックプログラム」、パートナー企業とコラボレーションした「スペシャルプログラム」を開催します。併せて京都府内では、ACK会期に合わせ多数のアート展示が開催されます。

 

アート作品で賑わう内覧会に参加

今回、10月27日に行われた内覧会に招待されたので、ご紹介させてください。

ウェルカムランチ(ザ・プリンス 京都宝ヶ池 中庭)

ザ・プリンス 京都宝ヶ池の中庭での立食パーティ。京都府知事も参加。関係者同士の交流が行われました。

 ACK 会場内覧会(国立京都国際会館イベントホール、ニューホール)

内覧会の開始と同時に大勢の方が来場しました。13時から盛況です!

会場を上から眺めた風景。順路が決まっていない独特な会場構成。

国内外のアーティスト、ギャラリスト、関係者などが集い、賑わっています。

絵画だけでなく、インスタレーション作品も多数展示されています。

こちらの金氏徹平さんの作品はサンエムカラーによる印刷。4m×3mの巨大な作品です。

セレモニー(国⽴京都国際会館 NH内ステージ)

オープニングのセレモニーによって、アートフェアに一体感をもたらしました。登壇者にはACKで200万円のアート作品を買った方も!

AKCは、明日28日から一般向けの開催になりますので、国立京都国際会館に足を運んでみてください。今年ならではのコンテンポラリーアートを京都で鑑賞することができます!

開催情報

Art Collaboration Kyoto(ACK)

開催日程:
2023年10月28日(土)−30日(月)

開催時間:
10月28日(土)  12:00–19:00
10月29日(日)  11:00–19:00
10月30日(月)  11:00–17:00
※最終入場は閉場の1時間前まで

メイン会場:
国立京都国際会館
606-0001 京都市左京区宝ヶ池

https://a-c-k.jp/

100年先の人々に京文化を伝えるラグジュアリーマガジン『京都百年書 Issue 01 瓢亭』を印刷

2023.10.19  展覧会・イベント情報, 印刷作品アーカイブ, お知らせ  ,

紙印刷の価値を極めた100部限定の豪華本

京都初のアートマガジン『京都百年書 Issue 01 瓢亭』が刊行されました。サンエムカラーでは印刷を担当しています。

「本質を守りながら時代に合わせて変わり続け、受け継がれる京文化の〝今〟を記録し、100年先の人々に京文化を伝えること」をコンセプトに創刊。100年先に文化を残していくために、紙に印刷された本によって記憶に残していく試みになります。

第一号は、京都・南禅寺畔で400年近く店を構える老舗料亭「瓢亭」の日常を紹介した一冊です。

本書では「瓢亭」に縁のある事柄を盛り込んでいます。表紙は阿波和紙。京焼が2客付きなど、料理に使われた素材や道具、ゆかりのものを本に貼り込み、視覚だけでなく五感で楽しめる仕掛けがお楽しみいただけます。

「五感」に働きかけ、記憶に残りやすい本


本書は、「 文化を知る。世界を変える。」をスローガンに、京都の文化を世界に発信するウェブメディア< THE KYOTO >と、写真集や美術書に定評のある出版社 赤々舎と青幻舎の創業者が手がける< PURPLE>が、共同で企画、制作。

100年先の人々に京文化を伝えることを目的としています。 空気までも映しだす〈瓢亭〉の懐石料理コース全品の美しい写真とともに、素材や道具、ゆかりのものを丁寧に貼り込んでおり、手ざわり感を大切にした世界限定100冊の極められた一冊となっています。

さらに14代 当主 高橋英一氏が絵付け、作陶は龍谷窯 宮川香雲、監修は15代当主 高橋義弘が行った京焼「京焼刷毛目瓢箪銘々皿」が2客付き。

明治15年に建てられた数寄屋造りの新席でみられる土壁を表現した表紙の阿波和紙は、藁が美しく浮き出た土壁と同素材。西陣で採れる希少な聚楽土と藁を混ぜて漉き込まれており、随所に、京の伝統と技が光っています。

デジタル化の急速な進展に伴い、様々な業界でペーパーレス化が進んでいる。広告や新聞、雑誌など更新される情報はさらに電子化が進み、これからは「紙に印刷する意味」が問われるだろう。特別な存在になろうとしている紙印刷された本は、手触りや香りなど「五感」に働きかけ、記憶に残りやすいという特徴を持つ。保存性の高い紙を使えば、数百年、数千年と保存することもできる。『京都百年書』は、そんな紙印刷の価値を極めた一冊である。遠い未来において、希少価値の高い手法で、人々の記憶に残し、伝承していく。この本が、紙印刷の価値を感じる機会となれば幸いです。

『京都百年書』ウェブサイトより引用
https://pr.kyoto-np.jp/exhibition/kyoto-century/

刊行を記念して『THE KYOTO』でインタビュー記事「瓢亭当主親子が挑む京料理の未来『京都百年書』刊行」が掲載されています。
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/thekyoto/1118268

 

瓢亭当主による京焼が本に付属

瓢亭14代当主の髙橋英一氏が絵付けをし、宮川香雲氏が作陶したオリジナル京焼付き。

京焼・茶の湯道具を3代にわたって手がける龍谷窯 宮川香雲氏が作陶した皿に、瓢亭14代当主の髙橋英一氏が瓢箪の図柄を絵付けした限定品を特別に製作。二人の直筆サインと落款も添えた、『京都百年書』でしか手に入らない銘々皿2客と共にお届けします。

 

新規オープンした「京都 蔦屋書店」でトークイベント開催

2023年10月17日に開業した京都髙島屋S.C.の5・6階に、「京都 蔦屋書店」がオープン。「京都 蔦屋書店」は、『アートと文化の「伝統と最先端」が共振し、その価値を高め合うような場を創る』をコンセプトとして、歴史に裏打ちされた伝統とカッティングエッジなカルチャーを幅広く提案することを目指した書店です。

京都 蔦屋書店で『京都百年書』は展示販売されています。お値段のするアートブックですので、まずはお手に取ってください。

また、トークイベントも開催されますので、歴史ある京都の文化のラグジュアリーな側面を知りたい方は足を運んでいただけましたら。


【イベント】『京都百年書Issue01 瓢亭』発売記念トークイベント

京都 南禅寺畔〈瓢亭〉の懐石料理を、視覚だけでなく五感で楽しむアート本『京都百年書 Issue01 瓢亭』。 この作品集の発刊を記念して、〈瓢亭〉第14代当主 髙橋英一氏、第15代当主 髙橋義弘氏、作品集に付く京焼「京焼刷毛目瓢箪銘々皿」を作陶した宮川香雲氏のトークイベントを開催いたします。貴重なこの機会にぜひご参加くださいませ。

日時:2023年10月26日(木) 11:00~12:00(10:30受付開始)
場所:京都 蔦屋書店 6階シェアラウンジイベントスペース

詳細はこちら
https://store.tsite.jp/kyoto/event/t-site/36346-1131041006.html

書誌情報

『京都百年書 Issue 01 瓢亭』

仕様:450×290mm/A3横変型/52頁/100部限定(エディションナンバー付き)※エディションナンバーはお選びいただけません。/京焼刷毛目瓢箪銘々皿 2客付き(作陶:龍谷窯 宮川香雲、絵付:瓢亭 髙橋英一、監修:瓢亭 髙橋義弘)
価格:165,000円(税込)
発行日:2023年10月17日
企画・制作:合同会社PURPLE(姫野希美)、THE KYOTO(佐藤寛之)
構成・編集:GRAfts・小池友紀
アートディレクション・デザイン:GRAfts
執筆:小池友紀
写真:蛭子真
翻訳:横田典子
英文編集:Kelly Waldron・Derek Wilcox
印刷:株式会社サンエムカラー・&PAPERS(有限会社マルシゲ紙器)
協力:龍谷窯 宮川香雲 
発行人:安田英樹
発行:合同会社PURPLE
〒604-8261 京都府京都市中京区式阿弥町122-1 式阿弥町ビル 3階
Tel. 075-754-8574 Fax. 075-606-4059
http://www.purple-purple.com