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1冊の写真集が完成するまで⑥

2017.9.29  1冊の写真集が完成するまで 

サンエムカラーが、作家の方と協力して
新しい写真集を作り上げるまでの様子をリアルタイムで
お届けするシリーズ「1冊の写真集が完成するまで」。

第6回は、前回に続いて、サンエムカラーの
外からお伝えしたいと思います。

 


 

第5回目の更新でお伝えした東美企画さんにて
表紙を印刷していただいている間に、
別の場所では本文の製本が並行して進められています。
(印刷立会い・東美企画さんへの見学の様子を、
北浦さんがブログ「みちとおと取材記」にまとめてくださっています。
ぜひ、併せてお読みください。)

今日は、その製本が行われている製本会社・新日本製本さんにお邪魔しようと思います。

サンエムカラーでは、多くの町工場の
職人さんたちの協力を得て書籍を作っています。
今回の写真集「狼煙」に使われる予定の
コデックス製本という形態は、製本の中では
比較的特殊なものです。
コデックスのような特殊な加工や製本に使われる設備を
持っている会社は限られており、製本で言うと
サンエムカラーでは、特殊な製本は
新日本製本さんにお願いすることが多いです。
特に、コデックス装に関しては、すべて
新日本製本さんに製本していただいています。

さっそく、製本の様子を見せていただきたいと思います。

 

工場の2階に上がると、隅の機械の横に
「狼煙」の丁合が済んだ本文が積まれていました。

今日見せていただくこの機械は、バラバラの本文を糸で
綴ってまとめる機械です。
コデックス製本だけではなく、上製本と呼ばれる製本の本はすべて
本文を糸で綴ります。
綴ったあと、本文の背を表紙で包んでしまうのが上製本、
包まずに外から見える状態で置いておくのがコデックス製本、という違いになります。

 


▲機械上部に、綴るのに使う糸が準備されています。
「狼煙」は照井さんたちとの検討の結果、グレーの糸で綴ることが決まっています。

 


▲糸巻きから糸を引っ張り、引っ掛けます。

 

機械の、糸がある部分から見て反対の端には本文がセットされています。


▲白い箱のような部分が本文の束です。

ここから紙が流れて行き…

糸で綴じられていきます。

少し見えにくいですが、反対側から見ると、

綴じられた本文が出てきました。

 


▲薄く何本も走って見える線が、糸で綴られている部分です。


▲開いて見ると、グレーの糸が見えます。

 

もうこれで本として完成に見えますが、この段階では
周りにまだ断裁すべき余白が残っているので、最後に
完成のサイズまで断ち落としてようやく本の形になります。

 

本日見せていただく工程は、ここまでです。

この後さらに、本文の背を糊で固めたあと
上製本の表紙にくっつける作業が残っています。

左が束見本、右が今日綴った本文です。
本文はこれから糊で固められ、束見本と同じ厚みになります。
糊で固める工程も新日本製本さんのお世話になります。

 


 

製本まで来たらもう安心、と言いたいところですが、
背へのシルク印刷や表紙付けなど、あとひとふんばり必要です。

とはいえ、完成をお伝えできる日ももうすぐそこですので、
どうか最後までお付き合いください。

新日本製本さん、今日はありがとうございました。
この後もよろしくお願いします。

 

照井壮平さんの写真集「狼煙」特設HPはこちらです。
ぜひチェックしてください。

 

「1冊の写真集が完成するまで」、次の更新をお楽しみに。

 

 

◯「1冊の写真集が完成するまで ⑦」はコチラから◯